Vol.159-2
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はアップルがグーグルの生成AI「Gemini」の技術を「Apple Intelligence」に活用する話題。他社の技術を用いる必要性が生まれた要因は何か。
今月の注目AI
アップル
Apple Intelligence
iPhoneやiPad、Macで利用できる“アシスタント”的なAI。情報はデバイス内で処理されるため、セキュリティ面での安全性が高い。ただしChatGPTやGeminiなどの生成AIと比較して、その立ち遅れが指摘されている。
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↑AIレースで遅れを挽回できない「Apple Intelligence」。
AIには、学習の結果作られた「AIモデル」の存在が必須だ。同じ名前のAIであっても、用途によって異なるAIモデルを併用していることは珍しくない。名前が出ていなくても、すでにスマートフォンの中では「画像認識用AIモデル」「音声認識用AIモデル」「翻訳用AIモデル」など、複数のAIモデルが搭載され、併用されている。
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では、スマホにこれから必要とされるAIモデルとは、どんなものなのだろうか?
「賢いもの」と言ってしまえばそれまでだが、万能性の高いAIモデルを組み込もうとしても、性能・実用性の限界が存在する。
「ChatGPT」のような最新のAIサービスは、クラウド上のAIデータセンターで動いている。高性能なGPUと、それを動かすために必要な冷却機構、電力を供給するためのインフラなどの組み合わせで動作しており、とてもスマホのCPU・GPUで動かせる規模のものではない。
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クラウドですべてを処理し、その結果を受け取るだけであれば、スマホの上でも問題ない。ChatGPTやGeminiのアプリで動くAIは、ほとんどがこの仕組み。アプリはサービスを使いやすくするためのインターフェースということになる。多くの人にとっては可能な限り賢いAIであることが望ましいだろうから、クラウドで処理されること自体は悪いことではない。
ただし、クラウドで処理される巨大なAIモデルを使う場合には3つのリスクがある。
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1つ目はコスト。大量の設備投資を経た最新のクラウドインフラの運営コストは大きく、電力だけでも供給は簡単ではない。多くのサービスでは、無料プランでは最新でも、最も賢いものではないAIモデルが提供され、高価な会員サービスから良いものを提供するパターンになっている。スマホ代のほかにAIサービス利用料の支払いが必須、となると、多くの人には厳しい負担だ。だがオンデバイスAIなら、スマホの電気代くらい。負担はほとんど増えない。
この問題に対処するため、OpenAIは自社のサービスに広告モデルを導入するとしているが、そうなると次の問題が出てくる。
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2つ目の問題はプライバシー。クラウドにデータを預けて処理するとなると、そのデータはクラウドに蓄積されるのが一般的。しかし、通話内容のようにプライベート性が高い内容について、すべてをクラウドに預けるのは不安と感じる人もいそうだ。すでにメールやファイル、AIとのチャット履歴はクラウドにあり、それを技術と契約の双方で縛っている状況だ。だから“いまさら”という話でもあるが、広告モデルが導入される可能性の前では、少し慎重にならざるを得ない部分がある。
3つ目は処理速度。クラウドを介すると、反応速度はどうしても遅くなる。検索のように「質問して回答を待つ」なら多少時間がかかってもいいが、スマホの中での動作のように素早く答えてほしい場合、クラウドでの処理は不利になる。
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そんなこともあり、スマホの中でのAIモデルは「コンパクトで、スマホの中で処理が完結する」、俗にいうオンデバイスAIであることが望ましい……という話になる。
だが、オンデバイスAIでは処理能力が足りないのも事実。これまでのスマホ向けAIがイマイチだったのも、AIの能力が足りなかった部分が大きい。Apple IntelligenceがGeminiを導入することになったのも、賢いオンデバイスAIを求めてのことだ。
とはいえ、実際にはクラウド上のAIとオンデバイスAI、さらには「第3のAI」とのセットが使われることになると予想される。第3のAIとは何か、その組み合わせとはどんなものなのか。
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その点は次回解説したい。
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The post 【西田宗千佳連載】スマホに求められるAIはクラウド型でもオンデバイス型でもない? appeared first on GetNavi web ゲットナビ.
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