Vol.166-3
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はグーグルが発売したスマートフォン「Pixel 11」の話題。同社が日本市場でPixelシリーズを重視する理由とは何か。
今月の注目アイテム
グーグル
Google Pixel 11
直販価格136,800円~
↑Tensor G6搭載でGeminiが先回りしてAIをサポート。大型化センサーで夜景が4.5倍高速化しProは120倍ズームに対応したカメラを備えて撮影機能が向上した。また耐久性の向上と充電速度の高速化も実現している
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今年のPixelである「Pixel 11」シリーズは、デザインを昨年から大きく変更していない。そのため“あまり進化していないのではないか”と思われることがある。
確かに劇的な変化ではない。特に、昨今注目が集まりやすい折りたたみ型である「Pixel 11 Pro Fold」については、他社が縦横比の異なる、いわゆる“パスポートサイズ”の製品を発売しているので地味に見える。だが実際には、堅牢性の強化や薄型化などで全体を見直しており、デザインが似ているのは「あえて選んだこと」なのだ。
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Googleは「スマホを使う上で我慢して欲しくなかったから」と説明している。要は、閉じている時に縦の長さが短くなり、使いづらくなることを避けたかった……という意図だ。
そんな中で明確に進めているのが「コストを抑えた機種と、カメラ重視のハイエンドの差別化」だ。
ハイエンドである「Pixel 11 Pro」「Pixel 11 Pro XL」は、カメラを搭載した「カメラバー」部の存在感が大きい。LEDを使った着信通知である「HiLight」も搭載した。
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一方、スタンダードモデルである「Pixel 11」では、カメラバーの厚みを抑えている。純正のスマホケースをつけると段差がさらに目立たなくなり、フラットな形状に見えるよう工夫されている。また、今年春に発売された「Pixel 10a」は、カメラバーがなく、ほとんどフラットなデザインになっている。
Pixelは「カメラが優秀なスマホ」として注目を浴びたが、スマホでカメラを改善していくには、どうしても物理的なサイズが過大になる。カメラを搭載した部分の出っ張りは少ない方が良いが、カメラにこだわるとどうしても必要な体積が増える。
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そこで今年のPixelでは、価格を抑えたモデルではカメラの出っ張りを抑え、ハイエンドのみカメラバーを目立たせる方向に向かった。売れる数が多いのは価格が安いモデルであり、日本でもPixel 10aに代表される「aシリーズ」の販売数量が突出している。Googleが開発したオリジナルのプロセッサーを搭載しつつも、価格を抑えたモデルの数量を増やしている。
ハイエンドの「Pixel 11 Pro」「Pixel 11 Pro XL」についても、ストレージが256GBの下位モデルについては、メモリー搭載量を12GBに抑えている。昨年のPixel 10 Pro系は全機種が16GBだったのに、今回はストレージが512GBと1TBの上位モデルだけが16GBになっている。昨年以来続くメモリー高騰を受けて、価格が高騰することを避ける判断と思われる。
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本来、AIの動作にはメモリーは多い方がいいし、高性能モデルなら尚更だ。だが、Googleは、プロセッサーの設計も“とにかく最高速”を目指す方向ではない。アップルやQualcommに比べピーク性能は抑えめで、特にゲーム向けのGPU性能でははっきりと劣る。ゲームを重視するならPixelは選ぶべきではない、と言えるほどだ。
一方、GoogleはAI処理を含め、“自分たちが作るスマホに必要十分”なプロセッサーを開発して使っている。
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同社はスマホを軸に「Gemini Intelligence」の搭載を進めているが、それにはフラッグシップ級のプロセッサーと12GB以上のメモリーが必要とされている。Googleが使う「Tensor G」シリーズもこの条件を満たす。ただし、対象機種は2025年発売の「Pixel 10」以降(Pixel 10aを除く)に限られ、条件はかなり厳しい。
この条件でGoogleは何をしようとしているのか? その点は次回のウェブ版で解説したい。
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